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ユーリ・ファテ−エフ쐤緞 Photo: Natasha Razina © State Academic Mariinsky Theatre

ユーリ・ファテ−エフ



マリインスキー・バレエの芸術監督に、エマ・コールダーがお話を伺いました。


エマ・コールダー(以下EK):10年前に就任して以来、あなたは様々な扉を開いて来られました。レパートリーの面では、古典バレエの最高の水準を維持しつつコンテンポラリー作品を拡張しました。そして世界中からダンサーを招き、入団させてきました。特別な意図があってそうなさってきたのですか?

ユーリ・ファテ−エフ(以下YF):もちろん、逸材には目を光らせてきました。じつは世界を見渡しても才能あるダンサーは、特にバレエでは多くありませんから、若い才能は見逃さないよう注意していなくてはなりません。もし私が彼らに特別な何かを授け、成長させてあげられるなら、そして彼らがマリインスキーのレパートリーに合っていてそのスタイルを受け入れられそうに思えたら、「ここに来て世界のトップクラスのダンサーにならないか」と誘います。マリインスキー・バレエは、クオリティ、雰囲気、サンクト・ペテルブルクという街、レパートリー、そしてマリウス・プティパがここで仕事をしたという意味でも、世界最高のバレエ団だと思います。

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ユーリ・ファテ−エフ쐤緞 Photo: Natasha Razina © State Academic Mariinsky Theatre

EK:最近あなたが入団させた、才能あるダンサーたちについて教えてください。たとえば、永久メイ。

YF:私がメイを見出したのは4年前、私の教えていたカリフォルニアでのサマー・プログラムに参加してきたときでした。150人ほどの生徒の中で彼女だけに目が行くほどで、すぐに声をかけました。まだ14歳なのに、たいへんユニークで才能あふれていました。あの年ですでに、バレリーナの感覚を持っていたのです。技術はたいへん強く、同時に感情面ではとても繊細なスタイルを持っていました。当時モナコのプリンセス・グレイス・アカデミーで学んでいましたが、この学校の教育のスタイルは、ワガノワ・アカデミーととてもよく似ているんです。

 メイは叙情的なダンサーで、とてもソフトで、繊細で、すでに大きな実績をあげています。入団後わずか1シーズンですが、『くるみ割り人形』『ラ・シルフィード』の2つの全幕バレエに主演し、とくに『ラ・シルフィード』は信じられないほど素晴らしかった。今は一緒に、『ジゼル』の準備を進めています。

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ユーリ・ファテ−エフ쐤緞 Photo: Natasha Razina © State Academic Mariinsky Theatre

EK:ワガノワ・アカデミーから入団した3人(マリア・ホーレワ、ダリア・イオノワ、アナスタシア・ヌイキナ)も、すでに『アポロ』他の大役を踊っていますね。

YF:ええ、彼女たちのことはクラスをずっと見守ってきました。私はワガノワの試験の審査員でもありましたが、この3人を入団させたいと思い、プロジェクトを一つ企画したんです。『アポロ』を選んだのは、3人がよく似ていて、バランシン・バレリーナらしいスタイルを持っていたから。ほっそりして、顔立ちも美しい。4月から7月まで4ヶ月間準備してアカデミーの公演で上演し、その後スポレート・フェスティバルと、マリインスキーの舞台でも踊りました。この後は、ニューヨーク・シティ・センターのバランシン・フェスティバルにも出演します。(注:11月1〜3日に開催済み)

EK:他のバレエ団では、才能ある若手が群舞に長く甘んじなくてはいけないこともままありますが、あなたは、飛び抜けて才能あるダンサーには早くから役を与えるという考えなんですね。

YF:ええ。時間が経つのは速いですから、才能ある人には実力を示すチャンスを与えなくてはいけません。私は、彼らを長く待たせるべきではないと考えます。バレエは若い人の芸術なのですから、足止めさせるなんてもってのほかです。

EK:マリインスキーのような大きなバレエ団の監督を務めていて、もっとも難しいことは?

YF:たくさんありますが、まず第一は、企画です。これはとても難しい。そして第二は、ダンサーと話し、彼らが聞きたくない内容を言って聞かせること。これもとても難しい。つまり、そのダンサーを個人的に嫌いだから特定の役を付けないのではなく、そのダンサーがその役に向いていないのだということを、納得させなくてはならないのです。

 マリインスキーには、伝統的なルールがあります。あるダンサーはこの役を踊り、別のダンサーは別の役を踊る。その線引きが揺らぐことはないんです。西洋のバレエ団では、プリンシパル・ダンサーであれば何でも踊りますよね。『白鳥の湖』『ドン・キホーテ』『ジゼル』…でもそれは正しいことではない。ダンサーの個性はそれぞれ違います。何でも踊れるダンサーもたまにはいるでしょうが、普通はそうはいきません。

EK:現役のダンサーだった頃から、コーチになって、芸術監督になろうと考えていらしたのですか?それとも、自然の成り行きで?

YF:12歳の時に自分の適性に気づいて、バレエ教師になりたいと思いはじめました。自分でもいい教師になれると思っていましたよ。でも、バレエ団の監督になるとは、夢にも思わなかったですね、ただの一度も。私がなりたかったのは…教師だったんです。

(訳:長野由紀)

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May Nagahisa in La Sylphide. Photo: Natasha Razina © State Academic Mariinsky Theatre

EK:他のバレエ団では、才能ある若手が群舞に長く甘んじなくてはいけないこともままありますが、あなたは、飛び抜けて才能あるダンサーには早くから役を与えるという考えなんですね。

YF:ええ。時間が経つのは速いですから、才能ある人には実力を示すチャンスを与えなくてはいけません。私は、彼らを長く待たせるべきではないと考えます。バレエは若い人の芸術なのですから、足止めさせるなんてもってのほかです。

EK:マリインスキーのような大きなバレエ団の監督を務めていて、もっとも難しいことは?

YF:たくさんありますが、まず第一は、企画です。これはとても難しい。そして第二は、ダンサーと話し、彼らが聞きたくない内容を言って聞かせること。これもとても難しい。つまり、そのダンサーを個人的に嫌いだから特定の役を付けないのではなく、そのダンサーがその役に向いていないのだということを、納得させなくてはならないのです。

 マリインスキーには、伝統的なルールがあります。あるダンサーはこの役を踊り、別のダンサーは別の役を踊る。その線引きが揺らぐことはないんです。西洋のバレエ団では、プリンシパル・ダンサーであれば何でも踊りますよね。『白鳥の湖』『ドン・キホーテ』『ジゼル』…でもそれは正しいことではない。ダンサーの個性はそれぞれ違います。何でも踊れるダンサーもたまにはいるでしょうが、普通はそうはいきません。


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Yuri Fateyev and Xander Parish. Photo: Natasha Razina © State Academic Mariinsky Theatre

EK:現役のダンサーだった頃から、コーチになって、芸術監督になろうと考えていらしたのですか?それとも、自然の成り行きで?

YF:12歳の時に自分の適性に気づいて、バレエ教師になりたいと思いはじめました。自分でもいい教師になれると思っていましたよ。でも、バレエ団の監督になるとは、夢にも思わなかったですね、ただの一度も。私がなりたかったのは…教師だったんです。

(訳:長野由紀)