DANCE EUROPE 日本語版


ミュンヘン・バレエの『スパルタクス』で、クラッススを踊るセルゲイ・ポルーニン  Photo: Emma Kauldhar


Dance Europe 日本語版 

 


金原里奈

イングリッシュ・ナショナル・バレエの新鋭に、ジェラール・デイヴィスがお話を伺いました。


バレリーナになろうと思ったきっかけは? 5歳の時、母が「美しい女性はみんなバレエの経験があるから」といって、京都のあるバレエ・スタジオに連れて行ってくれたんです。私もバレエが気に入って、8歳になる頃には週に4、5回レッスンするほどのめり込んでいました。先生は私がプロになりたがっているのを知って、目をかけてくれました。そのうちコンクールに出場するようになったのですが、そのスタジオは小さくて、出場するのは私一人。レベルの高い教室では、20人以上出ることも珍しくなかったのですが。 READ MORE



グランド・オーディションでヴァリエーション審査に進んだ小西聡子  Photo: Emma Kauldhar

グランド・オーディション

ロイヤル・バレエ元プリンシパルのダヴィッド・マハテリが企画した、ダンサーの就職支援のための催し。エマ・コールダーがリポートします。


 

プロとして最初の契約を勝ち取ろうとする時、そして移籍を考える時、ダンサーが受けなくてはならないのがオーディションだ。だがそのほとんどは、一年の最初の2ヶ月ほどに集中している。それらを受けて回るのは交通費もかさむし、なにより精神的な負担が大きい。そうした状況の中、9つものバレエ団の芸術監督が一堂に会してオーディションを行うというのは素晴らしいアイディアであり、ダヴィッド・マハテリが昨年ブリュッセルでこの企画を立ち上げた時の狙いも、まさにその点、つまりダンサーの負担軽減にあった。READ MORE


 

 Bayerisches Staatsballett - Osiel Gouneo in Spartacus.


ミュンヘンの『スパルタクス』
グリゴローヴィチの記念碑的名作を、ミュンヘン・バレエがヨーロッパのカンパニーとして初上演。アリソン・ケントがリポートします。


 

 トラキアの剣闘士にして紀元前71年ごろにローマ帝国に対する奴隷反乱の主導者となったスパルタクスは、アラム・ハチャトリアンの1954年のバレエ音楽のインスピレーションの源となった。レオニード・ヤコブソン、そしてイーゴリ・モイセーエフによる二つの版に続いてこれを演出したのが、当時ボリショイ・バレエの監督を務めていたユーリ・グリゴローヴィチによる本作である。彼はハチャトゥリアン、美術家シモン・ヴィルサラーゼと緊密に協力しながら、今日までボリショイの最高傑作の一つとして踊り継がれることになる作品を、1968年に発表した。READ MORE


リカルド・アマランテ振付『ア・フエゴ・レント』を踊る、デイヴィッド・ジョナサンとアイヌラ・アビルガジナ Photo: Nuken Kamashev

アスタナ・バレエ

アフガニスタンの注目のカンパニー。ポーランドでのガラ公演について、ジェシカ・ティーグがお伝えします。 


 芸術活動のための政府の助成金や基金がかつてないほど広範囲に分配されている現在、バレエ団を立ち上げるのはますます困難になってきている。特にクラシックのカンパニーがいきなり誕生するというのは稀なのだが、カザフスタンでは事情が違うようだ。世界で9番目に広く、“何々スタン”と名のつく国々の中でもっとも経済的に安定している同国で、アスタナ・バレエは2012年の設立以来、首都の活性化を目的とした政府の全面的な支援を受けてきた。現在はクラシックの訓練を受けた約40人のダンサーと新築の劇場、新任の常任振付家を擁し、ヨーロッパやアジア、南米へのツアーも予定されている。レパートリーは「東と西との出会い」ともいうべきもので、ソ連時代の古典バレエの伝統と民族舞踊などの混合に、より西洋的なネオ・クラシカル作品が加わっている。ワルシャワでのアスタナ・バレエ・ガラで、この新興カンパニーの魅力の一端を垣間見ることができた。READ MORE 

メイナ・ギールグッド近影 Photo: Emma Kauldhar 

メイナ・ギールグッド

かつてバレリーナ、芸術監督として活躍し、現在は世界中で指導にあたるギールグッドに、アマンダ・ジェニングズがお話を伺いました。


ェニングズ(以下AJ):ダンサーを指導なさるようになったきっかけは?

ギールグッド(以下MG):先生が来なかったから!当時私はフリーのダンサーで、幸運にもロイヤル・バレエで団員と一緒にクラスを受けさせてもらっていました。その日はフォンテインをはじめ有名ダンサーがずらりと顔を揃えていました。プリンシパルとソリストだけのクラスだったと思うのですが、先生が全然現われないの。そのうち皆がこちらを向いて「メイナ、クラスをやって」と言い出し…それが私の、指導者初体験になりました。 続きを読む READ MORE

 


 

English National Ballet - Fabian Reimair, Alina Cojocaru, Isaac Hernández and Begoña Cao in Giselle. Photo: Emma Kauldhar 

19 世紀の名作の新演出。


 アクラム・カーンは、今回『ジゼル』という作品を自ら選んだことで、深淵で古典的な領域へと新たに踏み込んだ。カタカリとコンテンポラリー・ダンスに由来する彼独特の力強い泥臭さはもちろん健在だが、そこにトウシューズが加わった。そしてカーンは、愛と裏切りと復讐と許しの物語を社会的不平等と階級差の結果と捉え、独自の世界を作り上げたのだ。

 

 語のあらゆる意味において、この作品を観ることは、振付家とダンサーはもとより、視覚、聴覚、身体感覚のすべてが融合した文化的体験だ。とりわけ、ヴィンチェンツォ・ラマーニャの音楽が素晴らしく、アダンの原曲のライトモチーフの断片が、メロディアスなオーケストラ、工場の音景、東洋的な短調、鋭い金属音などと、随所で絶妙に配され結びついている。衣装およびヴィジュアル・デザインはティム・イップによる。 続きを読む READ MORE

 

 


 

ボリショイ・バレエ『じゃじゃ馬馴らし』(ジャン=クリストフ・マイヨー振付)でのウラディスラフ・ラントラートフ 
Photo: Emma Kauldhar 

ウラディスラフ・ラントラートフー


ウラディスラフ・ラントラートフといえば、洗練されたジークフリート王子や颯爽としたバジルが思い浮かぶ。ボリショイの初の訪英から60周年となるこの夏、ロンドンでもこの二役を踊った彼は、だがおとなしくそこだけに収まっているような器ではない。ジャン=クリストフ・マイヨーはボリショイ・ダンサーのステレオタイプなイメージを打破すべく、ペトルーキオを“ヴラド”(ラントラートフ自身、このニックネームで呼ばれるのが好きだという)にあてて造形した。慌ただしいシーズンの最中、クラスと『パリの炎』のリハーサルの間に幸運にもスタジオが空いて、インタビューが実現した. 続きを読む READ MORE


 

Ballet Bolshoi - Anna Tikhomirova in Ratmansky's Flames of Paris

ボリショイのロンドン公演

『ドン・キホーテ』『パリの炎』『じゃじゃ馬馴らし』について、リディヤ・ラデツキーがお伝えします。 ボリショイの初のロンドン訪問から60周年にあたる今年、セルゲイ・フィーリンから芸術監督の職を引き継いだマハルベク・ワジーエフがロンドンに引っさげてきたのは、五つの全幕バレエである。 続きを読む READ MORE



The Royal Ballet School - Kaho Yanagisawa and Giacomo Rovero in MacMillan’s Soirées musicales.
Photo: Johan Persson.

<ロイヤル・バレエ・スクール>

年度末恒例の、学校公演。ロイヤル・バレエ・スクール、セントラル・スクール・オヴ・バレエ、ノーザン・バレエ・スクール、イングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクール、そしてワガノワ・アカデミーについて、デボラ・ワイスとキャサリン・ポーリックがリポートします。

 その三年生のためにデイヴィッド・ビントリーが振り付けた『スプリング・タイム』はいかにもビントリーらしいチャーミングな作品で、生徒たちは控えめなユーモアと難しい箇所も無理なく踊りこなす技術をもって、ひじょうにイギリス的なスタイルでこれを踊った。ジョセフ・シセンスは力強くスマートで、宙に浮くように”やすやすと”踊り、来シーズンからロイヤル・バレエに入団するのももっともと思わせた。前半のハイライトはケネス・マクミラン振付の『ソワレ・ミュージカル』で、主演は柳沢郁帆(やなぎさわ・かほ)とジャコモ・ロヴェロ。柳澤は(昨年の『ランデヴー』と同様に)見事なエポールマンを見せ、またロヴェロとのパ・ド・ドゥはお手本のようだった。彼女がロイヤル・バレエではなくスウェーデン王立バレエに入団するというのはちょっとした驚きである。彼らの益は我々の損、である。
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Noism - Sawako Iseki in La Bayadère. Photo: Kishin Shinoyama.

ラ・バヤデール — 幻の国』Noism

 下敷きとなっているのは、もちろん古代インドを舞台とするロシア古典バレエの同名の名作。その悲劇の発端となったカースト(身分差)を、架空の国での民族間の対立に置き換えた、芸術監督金森穣による新演出版である。

 ひとりの老人ムラカミが回想するのは、かつて繁栄を誇ったマランシュ国。そこではヤンパオという名の帝国の支配のもと、その傀儡である皇帝、高貴な戦士、踊り子たち、亡命の聖職者、地方の軍閥ら異なる民族の人々が、ヤンパオという名の帝国の支配下で偽りの調和のもとに暮らしている。戦士バートル(原典のソロル)は踊り子ミラン(ニキヤ)と密かに愛し合っているが、五族の調和を名目に皇帝の娘フイシェン(ガムザッティ)との婚約を強いられ、ミランに横恋慕するガルシン(大僧正)の密告から、ミランは殺されてしまう―—続きを読む READ MORE




Northern Ballet - Dreda Blow and Javier Torres in Cathy Marston's Jane Eyre.

ジェーン・エア - Jane Eyre 

キャシー・マーストン振付によるノーザン・バレエの最新作を、デボラ・ワイスがリポートします。

文学愛好家で、シャーロット・ブロンテの記念碑的名作『ジェーン・エア』を知らないという人はまずいないだろう。だが読んだことはないという人でも、このバレエなら物語をたやすく理解できるに違いない。言語をダンスに翻訳してゆくマーストンの手腕は卓越しており、何より、動きによって人物像がありありと描き出されているからである。続きを読む READ MORE




The Royal Ballet - Federico Bonelli in Liam Scarlett's Frankenstein.
Photo: Emma Kauldhar by courtesy of the ROH

『フランケンシュタイン』- Frankenstein

リアム・スカーレット振付の、ロイヤル・バレエによる新作。デボラ・ワイスはこれを、高く評価しました。

 メアリー・シェリーの同名の小説に基づく『フランケンシュタイン』は、リアム・スカーレットがロイヤル・バレエのために初めて手がけた全幕バレエである。音楽はロウェル・リーバーマンに委託した新曲、素晴らしい(そしてところどころ恐ろしい)美術はジョン・マクファーレン、題材にふさわしい神秘的な照明はデイヴィッド・フィン、そして比類ない効果を上げたプロジェクションはフィン・ロスによるもので、ひじょうに立派な出来栄えの作品だった。何より満足させられたのは、舞台上で起こっていることを理解するために、観客があらすじを読む必要がなかったことだろう。筋の運びはじつに明快で、なにより、じつに面白かったのである。続きを読む READ MORE